コラム

【社内報 NIKKOリレーションから知るDX①】DXとは?

今ビジネスの世界で注目されている言葉の一つに「デジタルトランスフォーメーション(DX)」があります。
最近テレビでもよく耳にしますが、「DXとは何か?」と聞かれるとうまく説明が出来ない人も多いのではないでしょうか。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か?

DXとは「デジタルを利用した変革」です。といっても何を意味しているのかわかりにくいかもしれません。
例えば、わたしたちの日常を振り返ってみると、今では当たり前のようにあるスマートフォン普及も生活スタイルがガラリと変わる大きな変革が起きたものによるものでもあり、世の中では大きな変革が次々と起きています。こうした日常生活の劇的な変化も「DX」と呼ばれるものだといわれています。

ですが、実のところ、DXにはコレといった確立した定義があるわけではありません。
さまざまな組織や企業がさまざまな考え方を掲示しているのが現状です。

 

日常生活から学ぶDX

小売の分野でDXの事例を探すと、何といっても世界中に変革を起こした米アマゾン・ドット・コムが挙げられます。ユーザーがどこにいても何でも好きなものが買えるという、買い物に行くという「行動」を完全にデジタルに置き換えたのがアマゾンです。例えば、個々の商品のページには、「よく一緒に購入されている商品」や「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったタイトルの下、関連が高い商品が掲載されています。これは店舗の店員のように、個々のユーザーに応じて商品を推薦する機能をサイトに実装し、ユーザーの行動をさらに活性化するという、店員の「知識」や「経験」から生み出されてきたことを、デジタルに置き換えたといえます。これはDXといえるでしょう。

 

DXが注目される理由
なぜこのタイミングでDXという考え方が注目されるようになったのでしょうか。

経済産業省は2018年5月から4回にわたって開催した「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」により同年9月に「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」という報告書をまとめました。その内容に対して多数の関係者が衝撃を受けました。それは、各企業が抱える既存システムに関して、①老朽化した既存の基幹システムがDXを推進する上での障壁になる、②2025年までにシステムの刷新をしないと、それ以降、年間で最大12兆円の経済損失が発生する可能性があると具体的な数値を出しながら、警鐘を鳴らしたからです。

 

2025年ごろにはデジタル競争に負ける恐れ
現在、日本では既存システムの運用と保守を続けなければならず、その結果、日本企業のIT投資は「守りのIT投資」に重点的に割かれてしまい、「攻めのIT投資」を中心とする米国企業との大きな差が生まれているといわれています。このような状況を放置し続けると、日本企業にははたしてどのような未来が待っているのでしょうか?

爆発的に増え続けるデータを活用しきれず、DXを実現できないままでいると、市場の変化に対応して柔軟なビジネスモデルを構築・推進することができず、2025年ごろにはデジタル競争の敗者になると「DXレポート」は強調しています。その結果、2025年以降、日本全体で現在の約3倍に上る毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある…これが経済産業省のいう『2025年の崖』です。

 

DXを積極的に進めた先進事例
ある建設機械メーカーは、建機に取り付けた各種センサーで集めた情報をデータセンターに集約し、稼働状況を遠隔でリアルタイムにモニタリング。これをもとに顧客の車両の保守管理や稼動管理、省エネ運転支援などさまざまなサービス提供につなげています。自社で活用するノウハウを顧客の生産性向上にも活かすという付加価値を実現した点で、DXの好事例の一つといえます。

 

企業のDX取り組み状況

DXは、すでに先進企業では取り組みが進んでおり、2019年2月、世界9カ国、900人のビジネスリーダーに対して行った調査では、実に87%のビジネスリーダーが、過去3年以内にDXの検討、試行、実践を行ったと回答されているそうです。さらに金融業の企業では47%、運輸業の企業では45%がDXを実践し成果を出したと回答しました。今後も、自動車や金融、ヘルスケア(医療)、製造、小売など各業種でDXの取り組みは進み、様々な改革が行われ、そして社会が変わっていくでしょう。その波に乗り遅れないためにも、覚悟を持ってDXへ取り組むことが求められています。

※この記事は、日興通信で発行している社内報『NIKKOリレーション』(vol.23)において、ITに関する基礎知識をわかりやすく解説したページを転載したものです。