コラム

【社内報 NIKKOリレーションから知るDX④】DXは今 ~DX実現に向けて取り組むべきこと~

新型コロナウイルスの世界的な流行により、目まぐるしく環境が変化するなかで、企業経営やDX推進のあるべき方向性、DX推進のさらなる加速に向けた方策について示された「DXレポート2(中間取りまとめ)」が経済産業省から令和2年12月28日に発表されました。本号ではDXの現状について説明していきます。

 

DXの現状


2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」について、社内報でもDX推進への遅れに対する危機感をお伝えしました。その後、経済産業省が2019年に企業から提出された自己診断結果を分析したところ、提出した企業の95%はまったくDXに取り組んでいないか、DXの散発的な実施に留まっているに過ぎない段階であることがわかりました。一方、5%の企業がDX推進に取り組んでいるということもあきらかとなり、これは20社中1社が取り組んでいるということになります。その後2020年の自己診断では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた結果、DXが加速することが期待されましたが、実際には9割以上の企業がDXに未着手であることがわかりました。

 

コロナ禍の企業への影響と対応

2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、企業は「感染拡大を防ぎ顧客・従業員の生命を守りながら、いかに事業を継続するか」という対応を求められることとなりました。各社は、テレワーク制度の導入、PCの追加購入・支給、ネットワークインフラの増強等について至急の対応を迫られました。しかし、テレワークが進まない要因として「同僚・取引先とのコミュニケーションに支障がある」「書類・伝票類(紙)を取り扱う業務(捺印、決済、発送、受領等)をテレワークの対象とできずに不便」といった問題が表出しました。こうした事態に至ってはじめて、各企業は自社のデジタル化が遅れていることを現実として実感したと考えられます。
東京オリンピック・パラリンピックに向けてテレワーク推進施策が講じられてきましたが、2020年3月時点では都内企業のテレワーク導入率は24%でした。しかし、緊急事態宣言発令に伴い、4月の導入率は62%と大幅に増加しました。今回のコロナ禍に迅速かつ柔軟に対応し、デジタル技術を最大に活用してこの難局を乗り切った企業と、ビジネススタイルの一時的な変更にとどまり、既存のやり方に固執する企業がその分かれ目となり、今後その差はさらに拡大していく可能性が高いと考えられます。コロナ禍という危機を「好機」と捉え、人々の固定観念が変化した今こそ、企業文化を変革する絶好の機会と言えます。

 

コロナ禍をきっかけに企業が直ちに取り組むべきこととは?

コロナ禍での急速な事業環境の変化に対し、最も迅速な対処策としてPCの追加購入・支給、ネットワークインフラの増強等による市販製品・サービスの活用をおこなうべきであり、こうしたツールを導入することは企業文化の変革を進めていく上でのファーストステップとなります。しかし、導入が完了したからといってDXが達成されるわけではないことにも十分に留意する必要があり、DXの取組みへと発展させていかなければなりません。経済産業省は事業継続性確保や事業基盤強化、事業開発に資するツールとして54種の製品カテゴリを挙げています。が、その中でも「DXレポート2」では今後企業がDXを推進する上で有効なツールとして、「業務環境のオンライン化」「業務プロセス化」「従業員の安全・健康管理のデジタル化」「顧客接点のデジタル化」を取り上げています。当社の事業ドメインである“ITインフラ”は「業務環境のオンライン化」の部分であり、お客様とともに土台を作り、その先のDX推進に向けて、お客様とともに考え、歩んでいかなければなりません。

 

DX実現に向けた具体的なアクション

DXの具体的なアクションを成熟度ごとに設計できるように、DXをデジタイゼーション、デジタイライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという3つの異なる段階に分解されています。デジタイゼーションは単なるデジタル化(紙文書の電子化など)、デジタライゼーションはデジタル化した製品やサービスの付加価値を高めること(人間がコンピュータで行なっている定型作業をロボットが代行するRPAなど)、さらにデジタルトランスフォーメーションはデジタライゼーションを実現することで新たな価値や体験を生み出していくこと=DX実現へと繋がっていきます。

 

Amazonから学ぶデジタルトランスフォーメーション

小さな小売会社に過ぎなかったAmazonが、デジタルトランスフォーメーションの実現により、今では世界的な企業へと生まれ変わりました。Amazonの企業理念「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」と「地球上で最も豊富な品揃え」の2つをもとに、「最高の顧客体験」を目指して進化し続けているAmazonのデジタルトランスフォーメーションをご紹介します。

あらためてDXとは?

DXについてここまで理解した上であらためて“DXとは何か?”と考えると「単なる業務をデジタル化すること」ではなく「デジタル化した業務を取り入れてさらに企業価値を高めていくこと」により、自社のDXが進歩していきます。
お客様のなかには「うちはデジタル化が進んでいるから大丈夫」とお話しをされる方もまだまだいらっしゃると思いますが、デジタル化することはDXの一部であり、『2025年の崖』という今後の課題を踏まえて、自社のDX実現に向けた、目指すべき目標を明確にして検討していく必要があります。
「ITインフラ」を事業ドメインとする当社として、お客様の事業発展のために何ができるのか。ICTシステムを快適・有効に活用いただくこと、さらに新しいことにも挑戦し続けていくことをお客様とともに考え、当社の「DX時代の目指すべき姿」を描いていかなければなりません。

DXを推進するための土台作りとして、「デジタイゼーション(第一段階)」、「デジタライゼーション(第二段階)」、そしてその先にある「デジタルトランスフォーメーション」をどのように維持・継続させていくことができるかが重要です。それぞれの企業がどのようにDXを推進しながら適応していくか、一人一人がDXへの理解を深めてお客様へご提案していきましょう。

 

※この記事は、日興通信で発行している社内報『NIKKOリレーション』(vol.30)において、ITに関する基礎知識をわかりやすく解説したページを転載したものです。