PBL(課題解決型学習)の活きた経験から得るもの

フェリス女学院大学様

導入のきっかけ

フェリス女学院様は、創立145周年を目前にした女学院で、大学は1965年に開設されました。文学部、音楽学部、国際交流学部の3学部から構成されています。情報センターが所属する、国際交流学部の春木教授、内田専任講師にお話を伺いました。

長年、基礎教養科目を中心に情報教育を展開してきましたが、一般的に文科系の学生は、特に3つの能力を涵養(かんよう)する必要があると思っています。それは、

  1.  モノづくり
  2.  グループワークや集団的な作業
  3.  目的を持ったコミュニケーション

の3つです。こうした点から、後述するような、PBL(Project-Based Learning:課題解決型学習)を比較的早くから試みています。しかし、学生達の価値観や知識レベルなどがほぼ同じであるため、学生の学びも均質化してしまいがちです。

こうした問題意識から、学びに異質なものを取り入れ、イノベーションを生み出すことを目的に学校にない価値観を社会から取り入れることを考えました。例えば、PBLを民間企業のみならずNGOや行政などと連携しながら展開し、学生の様々な能力を育むことを試みています。

これは、まだ全学的な試みには昇華していませんが、各先生方や学生達がこうした学びを必要としたときに実現できる環境を準備しておくことが、今回の導入の背景にあります。
 

学生フリ ースペース。学生にオ ープンな場所として、広く開放しており、授業でも使用されている。

PBL(課題解決型学習)と電子黒板の活用状況

2014年4月には、校内で利用者の少ない遊休スペースを再構築して、学びのためのオープンスペースとすることで、学修環境が向上しました。この部屋には電子黒板が2台、学生のグループワークの場所に3台の共有モニタを設置しました。また学生が自由に使用できるノートパソコンも複数台設置しています。

ここでは、電子黒板を使用し、課題・スケジュールなどを伝え、その後グループワークを行いながら、適宜必要な講義を提供したり発表をしたりしています。このような形式の授業スタイルで、ゴールに向けて学んでいくPBL型の授業を展開しています。
共有モニタを囲み、グループで学習を行うこともあります。インターネット利用だけに留まらず、授業内でのディスカッションも行われています。それらの成果をSNSを活用して共有しています。授業では、前回の学習内容を共有モニタに写し、振り返りに活用しています。
 

課題説明を電子黒板にて行う様子

使用したご感想

一般に、電子黒板はプロジェクターに代わるものと捉らえられていますが、それでは勿体ないと思います。クラス全員で画像や動画などを共有しながら進める少人数制の授業にも適合性があります。

最近では、授業教材資料として、画像・映像を用いることも多くなってきました。

語学教育や国際関係などの専門教育では、フィリピンや韓国をはじめ多くの機関と通信を用いたやりとりを行っています。プロジェクターは部屋の電気を消すため、お互いの表情が確認できませんでしたが、電子黒板を用いたWeb会議システムを使うことで、円滑なコミュニケーションが可能となりました。

学生のプレゼンテーションが行われる授業では、PowerPointで作成した資料を電子黒板で映し出し発表しています。画質が良くなり、その結果として学生から提出される資料の質が上がってきたという声もありました。

学生とコミュニケーションをしやすい授業を取り入れるため、電子黒板の活用やWeb会議・タブレット連携なども可能な環境も構築しました。これらは学びのインフラであり、一朝一夕に何かが変わるというわけではありません。ですが、旧来の授業で出来なかったことや、新しい学びの可能性を、教員と学生の双方がしっかり考えることが出来る環境は整ったと言えるかもしれません。
 

共有モニタを活用しグループワークする学生達

学生の身近に電子黒板がある授業風景

今後の展望

今後は、学びそのものを特定の科目・領域で完結させるのではなく、元々の学部のコンセプトでもあった学際性を大胆に取り込んでいきたいと考えています。特定の事象に対して、特定の領域からだけの答えを求めるのではなく、様々な側面から社会や学問の繋がりを、学生には捉えてほしいと思います。文献を読む授業ではなく、自ら発信をするような授業が必要とされています。

演習系の科目で言えば、今期は、政治的テーマや地域のデータのアーカイブ化などを、学生とともに試みて行く予定です。日本の社会が体験してきた大きな変化は、アナログ時代の出来事であり、まずはそれらをデジタル化することで学生の学びに繋げていくことを計画しています。

大学が、学びによって社会に貢献することを目標としています。
 

国際交流学部教授 春木 良且様

情報センター専任講師 内田 奈津子様

導入製品

●日立ソリューションズ製 電子黒板システム
 製品名:BIGPAD 70インチ、StarBoard Software
 台数 :5台
 導入先:緑園キャンパス(リテラシー教室、8号館、図書館、体育館)、山手キャンパス

●日立ソリューションズ製 タブレット端末連携ソフト
 製品名:StarBoard Student Tablet Software
 台数 :1台
 導入先:緑園キャンパス(8号館)

●NEC製 タブレットPC
 製品名:VersaPro タイプVT
 台数 :8台
 導入先:緑園キャンパス

●NEC製 液晶ディスプレイ
 製品名:32型液晶ディスプレイ
 台数 :6台
 導入先:緑園キャンパス(8号館、図書館、情報センター)
 

電子黒板 BIGPAD 70インチ

タブレットPC VersaPro タイプVT

フェリス女学院大学様 プロフィール

  • 創立:1870年(明治3年)
  • 学長:荒井 真
  • 学生数:学部 2,180人、大学院 109人、合計 2,289人(2020年度)
  • 学部:文学部(英語英米文学科・日本語日本文学科・コミュニケーション学科)、国際交流学部(国際交流学科)、音楽学部(音楽芸術学科)
  • 教育理念:「For Others」という教育理念を掲げています。これは、建学以来の永い歴史のなかで自然に人々の心の中で形をなし、学院のモットーとして受け継がれるようになったものです。
  • キャンパス:緑園キャンパス 〒245-8650 横浜市泉区緑園4-5-3
          山手キャンパス 〒231-8651 横浜市中区山手町37
  • ホームページ:http://www.ferris.ac.jp/

※記載内容は取材時(2014年9月)のものです。