「安心・安全」な暮らしを支える高機能消防指令センター

青森県 弘前地区消防事務組合様

導入の背景

予防業務で消防庁より表彰。NET119も運用スタート
弘前地区消防事務組合様(以下、弘前消防)は、平成25年(2013年)7月1日に消防広域化を実現するべく、弘前地区消防事務組合、黒石地区消防事務組合、平川市消防本部、板柳町消防本部の4消防本部が統合して発足しました。
管轄区域は弘前市、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、大鰐町、田舎館村、西目屋村の3市3町2村で、管内人口は28万人を超えています。
「近年、人材育成のほか、予防業務において違反是正の推進に力を入れて取り組んでいます。」そう語るのは、消防本部 通信指令課で情報通信機器やセキュリティの管理を行う、係長  境様です。
予防業務とは、消防設備や防火管理の立ち入り検査等を行い、法令違反があった場合には関係者に改善を促す、という業務です。その取り組みが評価され、令和元年度(2019年度)、弘前消防は総務省消防庁から予防業務優良事例表彰において優秀賞を受賞されました。
さらに、近年の取り組みについては、「令和2年度は聴覚や会話が不自由な方が日本全国どこにいても、消防指令センターへ緊急通報できるよう『NET119』*を導入し、弘前消防でも12月1日から運用を開始したところです(境様)」と語ります。

*NET119(NET119緊急通報システム)は、携帯電話やスマートフォンのインターネット機能を利用して119番通報が行えるシステムです。(利用には事前登録が必要)

通信指令課 情報管理係 係長 境 大地様

同 主任 佐藤 大和様

地域の魅力をお伺いすると「本部のある弘前市は、四季折々の豊かな自然と、趣きのある建物が調和した風情豊かな城下町です。1年を通じて様々なイベントが開催され、特に弘前さくらまつりは毎年、ゴールデンウィーク期間中に見頃を迎えることもあり、国内外問わず多くの観光客が訪れます。産業では、生産量日本一のリンゴをはじめ、お米やニンニクなど農産物の生産も盛んです」と語る境様と佐藤様。
*弘前さくらまつりの開催状況は、公式ホームページ等でご確認ください。

導入前の課題

固定電話からの通報は住所を聴取、車載機は動態管理のみ
『高機能消防指令システム』導入前の課題について、「以前の指令センターでは、『簡易型発信地表示システム』というものを使用しており、携帯電話やIP電話からの通報であれば位置情報を得ることができました。ただし、NTT固定電話からの通報時は通報者から住所を聴取しなければ確実な災害発生現場を把握することができませんでした。
また、各車両に車両動態管理装置(AVM)は搭載されていたものの、動態(出動や現場到着など活動状況)をアナログ無線回線を使って送信する方式で、しかも地図機能が搭載されていなかったため、出動隊はその都度、住宅地図の冊子をめくって災害発生場所を検索しなければなりませんでした(境様)」と振り返ります。

導入ソリューション

素早く住所を特定、現場と指令センターの連携も強化
平成27年(2015年)10月、弘前消防では『高機能消防指令センター』の運用を開始しました。以来、管内すべての119番通報をここで受け付けています。
消防指令システムは、最先端の情報通信機器を備え、119番の受信と同時に、通報場所付近の地図が指令台画面に瞬時に表示され、いち早く災害現場を特定します。そして、災害現場近くで待機中または移動中の消防車・救急車の位置を把握し、迅速に出動指令を出し、現場到着までの時間を短縮できるようになりました。
さらに『消防救急デジタル無線システム』によって、指令センター・各署・現場において、安全でスムーズな情報共有を行えます。例えば、指令センターから緊急車両の端末に災害住所や被災者名などの情報を暗号化して安全に送信するなど、効率的に現場活動を行えるようサポートしています。


「高機能消防指令センター」の主な特長

  • 発信地表示システムによる現場到着時間の短縮
  • 大規模災害への対応 (平時と非常時で指令台の運用人数を柔軟に変更、高所監視カメラの設置)
  • デジタル無線による個人情報の保護や現場活動の支援強化
  • 住民サービスの向上(音声通報が困難な方のためのFAX119・NET119)

発信地表示システムにより、119番受信と同時に指令台の画面に付近地図が表示される

現場と指令センターをつなぐデジタル無線

導入の効果

より早く現場に到着し、住民サービスの向上
119番の受付を行う指令員であり、情報通信機器とセキュリティの管理を担う主任の佐藤様に、導入後の効果について伺いました。
「メリットは、まず消防広域化で管轄地域が広範囲になりましたが、(通報地点の特定を行う)『統合型位置情報通知システム』を導入したことで、より早く災害発生場所を特定することができ、早期に出動指令をかけられるようになったことです。
それから、AVM装置Ⅲ型(現在地や活動状況などをリアルタイムに送受信する車載端末)を導入したことで、現場活動隊が人事異動などで不慣れな地域であっても、より早く現場に到着することが可能になったことです。いずれも地域住民のサービス向上につながっていると感じています」と効果を語ります。
現在は携帯電話だけでなく固定電話からの通報でも、位置情報が即座に分かる仕組みになりました。また、それまでのAVM装置が動態管理しかできず、地図情報やカーナビ情報は無線で通信していたのが、現在はFOMA回線を使ってリアルタイムにこれらの情報を送受信できるようになりました。
このように、弘前消防は通報の受信から隊員の現場到着までを1秒でも短縮し、消防防災体制の強化に日々取り組んでいます。

現在地表示と動態管理機能を搭載したAVM装置Ⅲ型を操作する消防隊員

今後の展望

サポートは満足。今後は、より耐久性の高いシステムや機器を期待
当システム導入から5年が経過し、システムの中枢となるサーバ群や周辺装置の修理部品確保が困難な時期が迫っており、通信指令課ではその対策準備を進めています。そこで、日興通信とシステムに期待することをお尋ねすると、佐藤様は「日興通信には365日24時間保守業務に努めてもらい、その他、消防指令システムを今後5年以上稼働させるための対策の提案や打合せに尽くしていただいており感謝しています。
一方、消防庁舎新築移転に伴う移設費や基地局の維持等に費用がかかるため、最小限の構成でかつ堅牢なシステムを、それから耐久性の高いAVMや携帯型無線機を期待します。あと、すぐには難しいかもしれませんが、10年以上稼動できるようなシステムを開発してもらえれば、どの自治体にとってもよいなと思っております」と希望を語られました。
最後に、今後の展望をお尋ねすると「青森県では第二次消防広域化推進計画が稼動し始めたばかりで、将来消防の広域化、または消防指令センターの共同運用を目指しているところです」と抱負をお話しいただきました。

弘前地区消防事務組合様 プロフィール

  • 本部所在地:青森県弘前市大字本町2番地1
  • 配置署数:1消防本部・5消防署・10分署
  • 職員数:436名
  • 管轄区域:弘前市、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、大鰐町、田舎館村、西目屋村
  • 管内面積:約1,600㎢
  • 管内人口:約28万人(約12万世帯)
  • ホームページ:http://www.hirosakifd.jp/
    (※令和2年4月1日現在)

※記載内容は取材時(2020年12月)のものです。