特別養護老人ホーム全室に無線LANを配備し、オンライン面談や業務効率化を目指す

社会福祉法人 三恵会様

導入のポイント

《導入前の課題》

  • コロナ禍で入居者の家族が施設に来られなくなり、面会ができなくなった。
  • 手書きによる報告書作成など、職員の事務作業をデジタル化して負担を軽減し、介護に集中できる環境を整えたい。

《導入の効果》

  • 入居者と家族へのサービス向上 
    ・Web会議システム『Zoom』を使って、家族とオンライン面会ができるようになった。
    ・iPadでインターネットに接続でき、レクリエーションの幅が広がり、介護スタッフも入居者にどう楽しんでいただくか考えるようになった。
    ・入居者からも要望のあった無線LANが全室で使えるようになった。
     
  • 職員の業務効率化
    ・他施設の職員とオンライン会議が可能に。 
    ・iPadを使った介護記録の電子化等を目指し、介護業務に専念できる環境作りを推進できた。

《導入ソリューション》

  • 2施設の全室に無線LAN構築 (協力:ディーリンクジャパン株式会社)
    業務のデジタル化や、入居者と家族をつなぐ基盤を整備しました。

構成図

  • Web会議システム『Zoom』
    入居者と家族が会えるオンライン面会や、職員同士のオンライン会議をすぐに開催します。

(イメージ)

《当社をお選びいただいたポイント》

  • 実地検証を行い、価格性能比の高い最適な構成を提案。
  • 既存のシステムやサーバのサポート、将来のさらなるIT導入まであらゆるサービスをワンストップ対応。
  • 無線LAN機器を一元管理できるツールを使って、トラブル発生時の遠隔管理や迅速なサポートが可能。

 

導入の背景

業務効率向上、入居者と家族の安心を目指し、無線LAN導入を決断

社会福祉法人 三恵会様は、特別養護老人ホーム「三恵苑」と「ひかわ」、さいたま市から運営権を譲り受けた養護老人ホーム「富士見園」の3施設を運営。さらに、デイサービス、在宅介護、地域包括支援センターの事業も展開されています。
法人全体の運営を担当する皆川慎一郎様は、デジタル化によって業務を効率化したいと常々考えていました。
「手書きでの報告書作成など、介護業界のアナログな体質を少しずつ改革したいと思い描いていました。職員が本来すべきは介護業務であり、その質を高めるには、デジタル化によって事務作業などの負担を軽減しなければなりません。
また、コロナ禍で施設に来られない入居者のご家族とのオンライン面談も提供したいと思っていました。その第一歩として、ネットワークを整備し無線LANを導入したいと考えていたのですが、施設も大きく、予算も限られる中、なかなか踏み切れませんでした」
そんな皆川様の背中を押したのが、コロナ禍と国の補助金でした。社会の生活様式が大きく変わっていく中で、三恵会でも入居者とその家族へのより良いサービス提供と、デジタル化による職員の業務効率向上のために無線LAN配備を具体的に検討することにしたと皆川様は語ります。
皆川様は、三恵会が導入している介護保険請求ソフトやサーバなどのITインフラを十数年にわたってサポートしている日興通信をはじめ、数社に見積りを依頼。対象は特別養護老人ホーム「三恵苑」と「ひかわ」の2施設で、三恵苑30室、ひかわ130室の合計160室。皆川様が重要視したのは、金額面もさることながら、各居室や会議室、オフィスまで全室でくまなく無線LANが利用できることでした。

社会福祉法人三恵会 理事
特別養護老人ホーム三恵苑 施設長
皆川 慎一郎様

導入前の課題

現地調査に基づいた、価格性能比の高い提案

日興通信は三恵会に対して、実績豊富なD-Link社製品による無線LANを提案することにしました。今回も同社に協力を仰ぎ、電波強度の測定等を実施しました。
その調査に基づき、無線LANアクセスポイントと、給電装置としてレイヤ2スイッチの、それぞれの施設に最適な台数と構成を算出。iPad、Web会議システム『Zoom』と併せて提案しました。
三恵会では、理事会で各社からの提案を吟味のうえ、この提案を採択いただき、第三者機関である評議委員会での承認を得て、2020年の秋に正式に採用が決まりました。
無線LAN選定の決め手となったのは、その価格性能比だそう。他社の提案内容は現地調査をすることなく要件のみから見積りを算出しており、コスト面でも大きな開きがあったとのこと。
新型コロナウイルス対応などにより施設が多忙を極めていたこともあり、実際に無線LANが導入されたのは2021年7月になりました。設置自体は、事前にキッティングを行っていたため、配線に1~2日、設置に1日と短期間でスムーズに完了しました。

 

 

導入機器

  • 無線LANアクセスポイント(DAP-2610)
    2つの帯域を同時に使えるデュアルバンド同時接続で、高速通信を実現。
    集中管理ツール「Nuclias Connect」を使って、多台数のアクセスポイントの一元管理が可能。
  • PoE+給電対応レイヤ2スマートスイッチ(DGS-1210-10MP)
    悪意のあるサイバー攻撃からビジネスを守り、信頼性の高いネットワークを構築します。

※いずれもD-Link製

無線LANアクセスポイント (DAP-2610)

PoE+給電対応レイヤ2スマートスイッチ(DGS-1210-10MP)

導入の効果

デジタル化の下地づくりができ、業務効率化、入居者サービスに活用

導入効果について皆川様は「デジタル化の下地づくりができたので、現在はオンライン面会をどう運用していくか、またiPadを使った介護記録の電子化などについてスタッフと話し合っているところです。Zoomも導入し、各施設の面々とオンラインで会議できるようになりました。また、無線LANの使用を希望されている入居者さんもいたので、ちょうどよいタイミングで導入できたと思っています」と話します。
予想外の効果もありました。iPadを介護記録だけでなく、入居者のレクリエーションにも使えるようになったことです。従来使っていたカラオケ機器の代わりに、iPadでインターネットにアクセスし、オンラインでカラオケを楽しめるようになりました。これをきっかけに、介護に携わるスタッフも、入居者をどう楽しませるかを考えるようになりました。
しかし、iPadなどのデジタル機器やITツールを活用したいという意欲の高いスタッフがいる一方で、従来業務からの変更に戸惑いを覚えるスタッフがいるのも事実です。皆川様は「ITツールの利用によって業務効率が高まることで、職員も楽になります。これからは、IT活用をするうえでの教育が課題になってくると思います。少しずつ教育を進めていきます。
IT導入の本来の目的は、現場の職員の主業務である介護に集中できる環境を整えることです。2022年にはペーパーレス化を達成したい」と語ります。
業務の効率化と施設利用者の安全、利用者家族の安心のためのネットワークの土台をつくりあげた三恵会。これを基盤として、これからも着実にデジタル化が進んでいくはずです。
 

社会福祉法人 三恵会様 プロフィール

  • 設立:1987年(昭和62年)11月
  • 所在地:埼玉県さいたま市西区大字中釘2219-4
  • 事業内容:老人ホーム3施設の運営、およびショートステイ、デイサービス、在宅介護支援センター等のサービス
  • ホームページ https://www.sankeikai.org/

※記載内容は取材時(2021年9月)のものです。